CD Projekt REDが開発を進める『The Witcher 4』。すでに主人公がゲラルトからシリ(Ciri)へと交代することは周知の事実となっていますが、その裏で「声の演技」にまつわる重要なバトンタッチが行われていたことをご存じでしょうか。
先日、ゲラルト役の名優ダグ・コックル(Doug Cockle)氏がメディアのインタビューに応じ、シリの新たな担当声優について、そしてシリーズの未来について熱く語りました。そこには、単なる共演者以上の、まるで本当の父娘のような信頼関係が垣間見えます。

ふん、また新しい話か。ゲラルトのやつも随分と話題になるのが好きだな。だがな、ウィッチャーにとって大事なのは噂話じゃあない。剣の腕と、怪物を狩る覚悟だ。……とはいえ、シリの新しい門出だ。少しばかり耳を傾けてやるとするか。
シリの声、あえての「キャスト変更」
『ウィッチャー3 ワイルドハント』でシリを演じたのはJo Wyatt氏でしたが、本作『ウィッチャー4』では、新人女優のCiara Berkeley氏が抜擢されました。

ファンにとって馴染み深い声を変更するのはリスクを伴う決断ですが、開発チームはBerkeley氏の「熱意と演技スキル」に惚れ込み、より成熟し、主役として物語を牽引する「新しいシリ」を彼女に託すことを決めたようです。

声が変わるだと? まったく、これだから人間界の『演出』ってやつは分からん。だがまあ、シリもいつまでも子供じゃあない。ケィア・モルヘンを飛び出したあの頃とは違う、“大人の女”の顔つきになったってことか……。新しい声が、あの跳ねっ返りの娘に似合うかどうか、わしが厳しく審査してやるわい。
「彼女なら大丈夫だ」ゲラルトからのお墨付き

自分の娘役が代わることについて、長年ゲラルトを演じてきたコックル氏はどう感じているのでしょうか? Golden Joystick Awardsでのインタビューで、彼はこう明かしています。

彼女(Berkeley)とはDMで挨拶を交わし、今日少し話しただけだけど……彼女は愛らしい人だ。素晴らしい仕事をしてくれると確信しているよ
コックル氏は、新人の彼女に対して先輩風を吹かせることはありませんでした。

アドバイス? 必要ないよ。彼女はとても強い人だ。きっと大丈夫さ
と語り、その姿勢はまさに、一人前のウィッチャーとして旅立つ娘を遠くから見守るゲラルトそのものです。

ほほう、『アドバイスは必要ない』とはな。あの小言の多いゲラルトにしては随分と丸くなったもんだ。昔、剣の握り方一つで散々わしに絞られたのを忘れたわけじゃあるまいが……。
まあ、あれだ。親父が口を出さなくなった時が、子供が本当に独り立ちする時だ。あいつもようやく、守るだけが親の務めじゃないと悟ったか。
「原作を読め」──雑音を一刀両断

また、シリが主人公になることについて、一部から「昨今のポリコレの流行りに乗った配慮ではないか」という心ない批判の声が上がっていることに対しても、コックル氏は以前からはっきりと反論しています。

もしこれを流行りの配慮だと思うなら、頼むから原作を読んでくれ。そうすればCDPRがなぜこの道を選んだのか理解できるはずだ
原作小説を知る彼だからこそ言える、「シリが主役になるのは必然であり、彼女にはまだ語られるべき物語がある」という力強い擁護。これほど頼もしい言葉はありません。

まったく、外野というやつはいつの時代も騒がしい。シリが主役になるのに文句があるなら、訓練場の丸太とでも戦ってろと言いたいところだがな。
ゲラルトの言う通りだ。歴史を知らぬ者は、目の前の事象だけで騒ぎ立てる。本を読め、歴史を学べ。シリの身体に流れる『古き血』の宿命を知れば、彼女がただの看板娘じゃないことくらい、半人前のウィッチャーでも分かるはずだぞ。
発売はまだ先、しかし「継承」は完了している
『ウィッチャー4』の発売はまだ数年先と見られていますが、ゲラルト自身がこれほどまでに新しい主役を認め、背中を押しているという事実は、ファンの不安を払拭する何よりの材料です。
ゲラルトも本作に何らかの形で登場することが示唆されていますが、それは主役としてではなく、次代を見守るレジェンドとしてになるでしょう。
リヴィアのゲラルトが「承認」を与えた新しいシリ。彼女がどんな冒険を見せてくれるのか、期待が高まります。

さて、話はこれまでだ。発売が数年先だろうが何だろうが、わしらにやることは変わらん。剣の手入れをし、霊薬を補充し、瞑想をする。
シリよ、新しい声で、新しい世界を駆け回ってこい。疲れたら、いつでもケィア・モルヘンの焚き火に当たりにくればいい。……もっとも、その頃までわしの腰がもてばいいがな。フン。


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