ヴェセミルVSシリ!きのこの山・たけのこの里論争

ウィッチャー4

※この記事は『ウィッチャー』の登場人物を題材にした、非公式のパロディ企画です。原作やゲーム本編とは関係ありません。

冬のケィア・モルヘン。

怪物退治の依頼もなく、城内には珍しく穏やかな時間が流れていた。

ところが食卓に置かれた二つのお菓子をきっかけに、その平穏はあっさりと破られる。

「きのこの山」「たけのこの里」

北方諸国の命運とはまったく関係のない、しかし本人たちにとっては譲れない戦いが始まろうとしていた。

ケィア・モルヘンに新たな争いの火種

シリ
シリ

ねえ、ヴェセミルおじさん。もう一度よく見て。どう考えても、たけのこの里の方がおいしそうでしょ?クッキーの部分までチョコがついていて、一口で全部の味を楽しめるんだから

ヴェセミル
ヴェセミル

見た目だけで判断するなと、何度教えた?派手なものほど中身が伴わんこともある。怪物も菓子も、まずは落ち着いて観察するものだ

シリ
シリ

お菓子を怪物と同じように観察する人、初めて見た。それに、きのこの山が落ち着いているんじゃなくて、少し地味なだけじゃない?

ヴェセミル
ヴェセミル

地味で何が悪い。持ちやすく、手を汚さずに食べられる。チョコとクラッカーを別々に味わえるのもいい。余計な飾りに頼らず、必要なものがきちんと揃っている

ヴェセミルにとって食べ物は、味だけで評価するものではないらしい。

持ち運びやすさ、手を汚さないこと、そして旅の途中でも食べやすいこと。いかにも長年街道を旅してきたウィッチャーらしい判断基準である。

しかし、シリにはその理屈がまったく響かなかった。

シリ
シリ

また実用性の話?私たちは遠征用の保存食を選んでいるんじゃないの。どっちのお菓子がおいしいかを話しているのよ

ヴェセミル
ヴェセミル

味だけで食べ物を選ぶから、若い者は肝心なところを見落とす。長旅の途中で手をチョコまみれにして、そのまま剣を握るつもりか?

シリ
シリ

たけのこの里を食べながら怪物と戦う状況なんて、たぶん一生来ないと思う。それに、また『若いから分からない』で終わらせるつもり?

ヴェセミル
ヴェセミル

お前の意見を聞いていないわけではない。ただ、一度これだと決めると、ほかが見えなくなることがある。菓子の話なら笑って済むが、外ではその癖が命取りになる。それを忘れるなと言っているんだ

シリは、わずかに口をとがらせた。

ヴェセミルが心配していることは分かっている。それでも、いつまでも何も知らない子どものように扱われるのは面白くない。

シリ
シリ

今は訓練じゃないよ、ヴェセミルおじさん。そうやって何でも教訓にするから、みんなに面倒くさいって言われるんだから

ヴェセミル
ヴェセミル

誰がそんなことを言った?

シリ
シリ

ランバート

ヴェセミル
ヴェセミル

……あいつの言うことは聞かなくていい。特に俺について話しているときはな

シリ
シリ

でも、その反応を見ると少しは当たってるみたい

ヴェセミル
ヴェセミル

シリ。話をそらすな

ついに食べ比べ対決へ

シリは二つの皿を用意し、きのこの山とたけのこの里を同じ数だけ並べた。

言葉で決着がつかないのなら、実際に食べて比べるしかない。

シリ
シリ

形が分からないように細かく割って、目隠しをして食べ比べる。それなら見た目にも惑わされないし、年齢も経験も関係ない。味だけで公平に決められるでしょ?

ヴェセミル
ヴェセミル

そこまでしなくても結果は分かっている。お前は昔から、勝負となると妙なところで意地になるな

シリ
シリ

私が意地になってるんじゃなくて、ヴェセミルおじさんが負けるのを怖がってるんじゃない?

ヴェセミル
ヴェセミル

子どもの挑発に乗るほど若くはない。それに、お前が負けたあとで不機嫌になると面倒だからな

シリ
シリ

だったら逃げてもいいよ。ヴェセミルおじさんは、きのこの山の方がおいしいって証明できなかった。それで終わりにしてあげる

ヴェセミルは小さく息を吐いた。

シリの挑発に乗るべきではない。そんなことは十分に分かっている。

それでも、どこか得意そうに笑う孫弟子を前にして、背を向ける気にはなれなかった。

ヴェセミル
ヴェセミル

……目隠しを持ってこい。ただし、負けても泣くなよ

シリ
シリ

誰に言ってるの?

ヴェセミルが選んだのは?

先に目隠しをしたのはヴェセミルだった。

シリは二つのお菓子を細かく割ると、そのうち一つをヴェセミルの手に乗せた。

シリ
シリ

それじゃあ最初のひとつ。ちゃんと味わってね。見た目に惑わされず、落ち着いて観察するんでしょ?

ヴェセミル
ヴェセミル

さっき俺が言ったことを、得意そうに繰り返すな。黙って食わせろ

ヴェセミルは菓子を口に入れ、ゆっくりとかみしめた。

シリは笑いをこらえながら、その答えを待っている。

ヴェセミル
ヴェセミル

……なるほど。チョコの甘さだけが先に来ず、生地の香ばしさもしっかり残っている。歯触りも悪くない。やはり菓子は、それぞれの素材を感じられる方がいい

シリ
シリ

つまり、どっち?

ヴェセミル
ヴェセミル

こちらが、きのこの山だな。食べれば分かる

シリ
シリ

目隠しを取っていいよ、ヴェセミルおじさん

ヴェセミルが目隠しを外す。目の前では、シリが「たけのこの里」の箱を持っていた。

シリ
シリ

いま食べたの、たけのこの里

ヴェセミル
ヴェセミル

…………

シリ
シリ

生地の香ばしさが残って、歯触りも悪くないんだよね?それから、食べれば分かるんだっけ?

ヴェセミル
ヴェセミル

一度の試食だけで結論を出すのは早い。偶然という可能性もある。正確な判断には、もう少し検証が必要だ

シリ
シリ

さっきまで、食べれば結果は分かるって言ってたよね?

ヴェセミル
ヴェセミル

シリ。ウィッチャーに必要なのは、状況に応じて判断を修正する柔軟さだ。最初の考えに固執していては、変化する戦況に対応できん

シリ
シリ

それを普通は、負け惜しみって言うんだよ

勝ち誇るシリを前に、ヴェセミルは静かに目隠しを置いた。そして皿に残っていた、たけのこの里をもう一つ手に取る。

シリ
シリ

あれ?もう結果は分かったんじゃなかった?

ヴェセミル
ヴェセミル

だから検証を続けている。十分な回数を試さなければ、公平な結論は出せん

シリ
シリ

それなら、もう一箱買ってこないとね。負けた方が買う約束だったでしょ?

ヴェセミル
ヴェセミル

調子に乗るな。俺はまだ、きのこ派だ

シリ
シリ

はいはい。そういうことにしておいてあげる

結局、ヴェセミルがきのこ派を改めることはなかった。ただし、その日のうちに空になったのは、たけのこの里の箱の方だった。

あなたはどちらに加勢する?

こうしてケィア・モルヘンで勃発した「きのこの山・たけのこの里論争」は、シリの勝利らしき形で幕を閉じた。

もっとも、ヴェセミル本人は負けを認めていない。

あなたなら、きのこ派のヴェセミルと、たけのこ派のシリ、どちらに加勢するだろうか。

ぜひコメント欄で教えてほしい。

次回の「ケィア・モルヘン口喧嘩劇場」でも、北方諸国の平和とは特に関係のない論争が始まる……かもしれない。

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