『ウィッチャー3』の遺伝子を受け継ぐ者たち――元開発メンバーが仕掛ける期待の新作ゲームまとめ

CDPR ウィッチャー3

『ウィッチャー3 ワイルドハント』は、ゲーム史に名を残す最高峰のRPGとして今なお語り継がれています。現在は『GTA 6』の話題が世間を賑わせていますが、今後情報が明らかになるにつれて『ウィッチャー4』も大きな注目を浴びることは間違いありません。

主人公としてシリが表舞台に立つ本作は、プレイヤーの選択が結末を左右するシリーズの伝統を継承する限り、間違いなく「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」の最有力候補となるポテンシャルを秘めています。

レジェンドとも言える『ウィッチャー3』のリリースから年月が経ち、開発の中心を担った多くのベテランたちがCD Projekt Red(以下、CDPR)を去り、新たな一歩を踏み出しました。

たとえば、現在最も期待されている吸血鬼アクションRPG『The Blood of Dawnwalker』を開発中の「Rebel Wolves」は、ゲラルトの最後の旅路を支えた複数のシニアスタッフによって設立されたスタジオです。

しかし、ウィッチャーのDNAを継承するプロジェクトはそれだけではありません。今回は、元『ウィッチャー3』の開発者たちが手がける現在進行中の全プロジェクトの最新情報を、徹底的に整理してお届けします。

CD Projekt Red(本家)が仕掛ける次世代プロジェクト

まずは本家CDPRの動向から見ていきましょう。スタジオ内には、今もなお『ウィッチャー3』を支えたシニアメンバーたちが多数在籍し、中核を担っています。

『ウィッチャー4』(コードネーム:Project Polaris)

witcher4
  • 開発状況: 本格生産(フルプロダクション)段階
  • 開発人数: 513名(2026年4月末時点)
  • リリース予想: 2027年以降

共同CEOのミハウ・ノバコフスキアダム・バドウスキをはじめ、トマシュ・マルヘフカ(『ウィッチャー3』ライター ➔ 今作のナラティブ・ディレクター)、あの「血まみれ男爵」のクエストを手がけたパヴェウ・サスコ(アソシエイト・ディレクター)など、お馴染みのメンバーが開発を牽引しています。

本作は再びオープンワールドRPGとなり、原作小説には登場するもののゲーム化されていなかった「コヴィリ」地方が舞台となります。主人公はシリとなり、ゲラルトのような物理的な剣技だけでなく、彼女の特異な魔法能力をフルに活かしたゲームプレイが特徴です。

シリのボイスアクタ―には若手のシアラ・バークレイが起用されており、Unreal Engine 5による次世代のモーションマッチング技術や、リアルな馬の挙動システムなども導入されています。

『ウィッチャー3:Songs of the Past』(新規拡張コンテンツ)

Songs of the Past
  • 開発状況: Fool’s Theoryと共同開発中
  • リリース時期: 2027年予定

『ウィッチャー4』を待つファンにとって最大のサプライズとなったのが、2026年5月27日に発表された『ウィッチャー3』の第3弾となる最終拡張コンテンツ『Songs of the Past』です。『ウィッチャー1 リメイク』も手がけるFool’s Theoryとの共同開発で進められています。

再びゲラルトが主人公となり、ボリュームは傑作DLC「血塗られた美酒」に匹敵する規模。ストーリーは『ウィッチャー4』へと繋がるプロローグ的な役割を果たすことが明かされています。

『サイバーパンク 2』(コードネーム:Project Orion)

サイバーパンク2
  • 開発状況: プレプロダクション段階
  • 開発人数: 163名(2026年4月末時点)
  • リリース予想: 2029年〜2030年頃

2025年5月に正式にプレプロダクションへ移行した本作は、新設されたボストンスタジオを拠点に、バンクーバーとワルシャワのチームが連携して開発が進められています。サラ・グリュマー(リード・クエストデザイナー)やアンジェイ・ストパ(シネマティック・ディレクター)など、『ウィッチャー3』『サイバーパンク2077』を成功に導いたクリエイターが再集結。

原作の生みの親であるマイク・ポンスミス氏によれば、お馴染みのナイトシティに加え、「シカゴが狂ってしまったような」荒涼とした第2の都市を訪れることになるとのこと。よりダークでインダストリアルな世界観が期待されます。

『Project Hadar』(完全新規IP)

Project Hadar
  • 開発状況: プロトタイプ制作段階
  • 開発人数: 24名(2026年4月末時点)

CDPR初の完全オリジナルIPとなる本作は、2026年3月の決算発表にて、コンセプト段階を終えて「プロトタイプ制作段階」へ移行したことが発表されました。

求人情報からは、CDPRの強みである「感情を揺さぶるストーリー主導のオープンワールド体験」になることが判明しています。現在は少数の精鋭チーム(24名)がUnreal Engine 5を用いて基礎的なゲームメカニクスの実験と検証を重ねています。

『Project Sirius』(ウィッチャー・マルチプレイ)

Project Sirius
  • 開発状況: 開発継続中(2023年に一度リブート)
  • 開発人数: 83名(2026年4月末時点)

ウィッチャーの世界を舞台にしたマルチプレイヤーゲーム。開発を主導していた「The Molasses Flood」は、2025年4月1日をもってCDPRボストンに完全に吸収合併されました。

2026年6月の最新情報によると、本作は「F2P(基本プレイ無料)の協力型RPG」になる可能性が高く、プレイヤーはカスタムしたウィッチャーを操作して仲間と共にモンスターを狩る仕様が想定されています。リードライターには、『Destiny 2: The Final Shape』のナラティブを牽引したクワン・ペルン氏が就任しています。

『ウィッチャー リメイク』

ウィッチャー リメイク
  • 開発状況: 開発中
  • 開発元: Fool’s Theory(CDPRが完全監修)

Unreal Engine 5を用いて初代『ウィッチャー』をゼロから再構築するプロジェクト。こちらもFool’s Theoryが手がけており、オリジナル版のエリア制マップからシームレスな完全オープンワールドへと生まれ変わることがアナウンスされています。

CDPRを飛び出した「猛者たち」が紡ぐ、新たなマスターピース

ここからは、CDPRから独立したベテランたちが設立した新進気鋭のスタジオによる注目作を紹介します。

『The Blood of Dawnwalker』(Rebel Wolves)

The Blood of Dawnwalker
  • 発売日: 2026年9月3日予定
  • 対応プラットフォーム: PC, PS5, Xbox Series X|S
  • パブリッシャー: バンダイナムコエンターテインメント

『ウィッチャー3』のゲームディレクターを務めたコンラッド・トマシュキエヴィチを筆頭に、ヤクブ・シャマウェク(シニアライター)、バルトロミェイ・ガウェウ(アートディレクター)ら、黄金期を支えたメンバーが集結。

本作はカルパティア山脈に位置する架空のゴシック王国「ヴェイル・サンゴラ(Vale Sangora)」を舞台にしたダークファンタジーアクションRPG。昼は人間として剣技を振るい、夜は吸血鬼としての異能を駆使する主人公「コーエン」となり、病に侵された妹「ルンカ」を救うために30日間のタイムリミットに挑みます。ウィッチャー譲りの重厚な選択と分岐が魅力です。

Blank Game Studios(未発表プロジェクト)

Blank Game Studios
  • 開発状況: 開発初期段階
  • 出資元: NEOWIZ(約1700万ドルの投資を獲得)

『ウィッチャー3』の共同ディレクターを務めたマテウス・カニク、エグゼクティブプロデューサーを務めたイェンジェイ・ムロス、マルチン・イェフィモフらによって設立。

彼らの手がける初のタイトルは「ポストアポカリプスを舞台にした、キャラクター主導のナラティブゲーム」です。大作志向から離れ、20名ほどの小規模チームでユニークかつ感情的な体験を作り出すことを目指しています。2023年末に韓国のNEOWIZから大規模な出資を受けており、資金面と開発環境の安定性が注目されています。

Dark Passenger(未発表プロジェクト)

Dark Passenger
  • 開発状況: 開発中
  • 資金融資: The Games Fundなどから300万ドルの資金調達に成功

『ウィッチャー3』のシネマティクス、アート、背景制作を担当したヤクブ・ベンパヴェウ・クレタらが設立したスタジオ。

初のタイトルは、封建時代の日本(和風ファンタジー)を舞台にした一人称視点(FPP)のマルチプレイヤーステルスアクション。Unreal Engine 5による美麗なグラフィックに加え、忍具「手甲鉤(しゅこう)」を用いた壁登りや、他のプレイヤーが放った「矢の上を走る」といったアクロバティックな超人アクションが特徴です。現在、メンバーを30名から60名規模へと拡大し、開発を本格化させています。

おわりに:ウィッチャーの遺産が紡ぐ、ゲーム業界の新たな黄金期

CDPR

CD Projekt Redという巨大なゆりかごから羽ばたき、あるいは今なおその最前線で牙を研ぎ続けるクリエイターたち。彼らが仕掛ける一連のプロジェクトは、単なる「元有名開発者の新作」という枠を超え、これからのゲーム業界のトレンドを左右するほどの熱量を秘めています。

本家CDPRが威信をかけて挑む『ウィッチャー4』『サイバーパンク 2』といった、業界最高峰のクオリティを追求する超大作(AAA)はもちろん、大作の縛りから解放されて独自の作家性とディープな体験を突き詰める独立系スタジオ(Rebel Wolves、Blank、Dark Passengerなど)の動向からも目が離せません。

ゲラルトの旅路がひとつの終着点に達したあとも、プレイヤーの心を揺さぶる「重厚なストーリー」「血の通ったキャラクター」、そして「意味を持つ選択と結末」というウィッチャーの遺伝子は、世界中に散らばり、新たな形となって芽吹き始めています。これらすべてのプロジェクトが出揃うであろうこれからの数年間は、RPGファン、そしてすべてのゲーマーにとって、間違いなく至福の、そして血湧き肉躍る時代となるはずです。

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