いつもwitcher4.netをご覧いただきありがとうございます。普段は『ウィッチャー4』のゲームシステムや世界観の考察などを中心にお届けしていますが、今回は少し視点を変えて、開発元であるCD Projekt Red(CDPR)の「経営戦略」と「お金」の話に切り込んでみたいと思います。
「ゲームの話じゃないのか」と思われるかもしれませんが、新作が素晴らしいものになるかどうかは、企業の財務状況や開発体制と密接に関わっています。今回は、先日GameSpotで報じられた興味深いニュースをもとに、CDPRが掲げた野心的な利益目標が、私たちゲーマーにとって何を意味するのかを深掘りしていきましょう。
CDPRは、次なる『ウィッチャー』3部作の幕開けに向けて、極めて野心的な財務目標を掲げました。同社は2025年から2028年の期間において、30億ポーランド・ズウォティ(約1,100億円以上)の純利益を見込んでいます。
この数値は単なる希望的観測ではなく、同社が現在進めているパイプラインへの自信の表れであり、同時に過去の教訓を生かした開発体制の再構築が順調に進んでいることを示唆しています。
利益目標の背景にあるもの

CDPRが掲げた「4年間で30億ズウォティ」という数字は、同社の歴史において『サイバーパンク2077』のローンチ時期を含んだ2020年から2021年の記録的な利益に次ぐ規模です。
しかし、今回の目標設定が当時と異なるのは、単一のタイトルへの依存度を下げ、複数のプロジェクトを並行して成功させる「持続可能な成長モデル」への転換を図っている点です。
この利益目標の主なドライバーとなるのは、間違いなく『ウィッチャー』シリーズの次回作です。これは新たな3部作の第1作目と位置づけられており、開発はいままさに真っ最中です。
パイプラインの多様化とリスク分散

これまでのCDPRは、数年に一度の超大作リリースに会社の命運をかける「一本足打法」に近いビジネスモデルでした。しかし、今回の発表からは、より多角的なアプローチが見て取れます。
現在進行中の主なプロジェクトは以下の通りです。
| プロジェクト名 | 開発タイトル |
|---|---|
| Project Polaris | ウィッチャー新3部作の第1作 |
| Project Orion | サイバーパンク2077の続編 |
| Project Sirius | The Molasses Floodが開発するウィッチャーのスピンオフ(マルチプレイ要素を含む可能性) |
| Project Canis Majoris | 初代ウィッチャーのリメイク |
| Project Hadar | 完全新規IP |
特筆すべきは、これらが単なる構想段階ではなく、具体的な収益予測に組み込まれている点です。特に『Project Sirius』やリメイク版は、ナンバリングタイトルの合間を埋める重要な収益源として機能することが期待されます。
Unreal Engine 5への移行という戦略的決断

技術的な観点から見ると、自社製エンジンであるREDengineからUnreal Engine 5への移行は、この野心的な目標を達成するための鍵となります。
『サイバーパンク2077』の開発において、エンジンの改修とゲーム開発を同時に進めることの困難さが浮き彫りになりました。UE5を採用することで、CDPRはエンジンの基盤開発という重荷から解放され、コンテンツ制作と最適化にリソースを集中させることができます。
また、業界標準のエンジンを採用することは、開発者の採用や育成においても有利に働きます。
この技術的シフトは、開発スケジュールの安定化に寄与し、延期の常態化やバグの多いローンチという過去の汚名を返上するための必須条件と言えるでしょう。
懸念点と課題

しかし、この強気な見通しに死角がないわけではありません。
まず、30億ズウォティという目標は、すべてのプロジェクトが遅延なく、かつ高品質でリリースされることを前提としています。『ウィッチャー3』や『サイバーパンク2077』で見られたような数年の延期が発生すれば、この財務目標は画餅に帰す可能性があります。
また、UE5への移行は長期的にはプラスですが、短期的には開発チームが新しいツールセットに習熟するための学習コストが発生します。
特に『ウィッチャー』特有の複雑なクエスト構造やオープンワールドの密度を、Epic Gamesのエンジンでどのように再現、あるいは進化させるかは技術的な挑戦です。
さらに、近年ゲーム業界全体で開発費が高騰しており、利益率を圧迫しています。売上が好調でも、開発コストが想定を超えれば、純利益目標の達成は難しくなります。
結論:CDPRの第2章への期待
CDPRの今回の発表は、単なる数値目標の提示以上の意味を持っています。それは、同社が『サイバーパンク2077』のローンチ時のような混乱を脱し、組織として成熟しつつあるというメッセージです。
『ウィッチャー4』が成功すれば、CDPRは再びRPGの王者としての地位を確固たるものにするでしょう。ファンとしては、彼らが掲げた高い目標が、株主へのアピールだけでなく、かつてのような妥協のない最高品質のゲーム体験として結実することを期待せずにはいられません。

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