2027年の『ウィッチャー4』に向けて今こそ『ウィッチャー3』に没入すべき理由【Witcher】

ウィッチャー3

2026年の今年、『ウィッチャー3 ワイルドハント』に待望の新規DLCが配信予定という驚きのニュースが駆け巡りました。さらに、2027年には次作『ウィッチャー4』の発売が予定されています。

2015年5月19日に産声を上げた本作は、まもなく発売11周年を迎えます。日々進化を続けるゲーム業界において、11年前の作品を今からプレイすることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。しかし、本作に関してはその懸念は全くの杞憂です。

今回は、世界的な大ヒットを記録しながらも日本ではまだ触れていない人が多いこの傑作について、なぜ今、新規プレイヤーは必ずプレイすべきなのか、そして既プレイ者も再びコントローラーを握るべきなのか、その絶対的な理由を解説します。

オープンワールドRPGの歴史を変えた、色褪せない金字塔

『ウィッチャー3』は、全世界で数千万本を売り上げ、数え切れないほどのゲーム・オブ・ザ・イヤーを獲得した歴史的タイトルです。

日本国内では、洋ゲー特有のダークファンタジーな世界観や、シリーズ3作目というハードルの高さから、世界的な熱狂に比べると知名度がやや落ち着いている側面があります。しかし、それはあまりにも勿体ない事実です。

本作がゲーム史に与えた最大の影響は、広大なオープンワールドの隅々にまで「意味のある物語」を配置したことです。広大なマップを用意し、単調なお使いクエストで埋め尽くす従来の設計とは異なり、本作のクエストはたとえ道端の村人からの小さな依頼であっても、複雑な人間模様や陰惨な裏事情が絡み合っています。

11年前のゲームでありながら、現在の最新タイトルと比較しても全く見劣りしないグラフィックの美しさと、風に揺れる木々や沈む夕日などの環境表現は、探索の楽しさを今なお担保しています。

準備と知識が明暗を分ける、玄人好みのバトルシステム

本作のゲーム性は、ただ剣を振り回して敵を倒すだけのアクションゲームとは一線を画します。主人公ゲラルトは「ウィッチャー」と呼ばれる怪物退治の専門家であり、プレイヤーにもそのプロフェッショナルとしての論理的な思考が求められます。

ウィッチャーが玄人好みのゲームと言われ、ライトゲーマーにとっつきにくいと思われる主因に戦闘前の「準備」にあります。

遭遇する怪物の弱点を図鑑で調べ、適切な「オイル」を剣に塗り、ステータスを底上げする「霊薬」を飲み、魔法のサインである「印」を状況に合わせて使い分ける。この一連の戦術的な組み立てが機能したとき、初めて強大なモンスターを打倒することができます。

レベルを上げて物理で殴るのではなく、知識と準備で圧倒的な力の差を覆す。このロールプレイの深さが、100時間を超えるプレイにおいても戦闘を単調な作業に陥らせない最大の要因です。

勧善懲悪を否定する、JRPGにも通じる繊細なシナリオ

本作を語る上で欠かせないのが、完全な善悪が存在しない道徳的に曖昧な世界観と、そこで生きる登場人物たちの人間臭さです。

洋ゲーといえば大味なストーリー進行を想像する方もいるかもしれませんが、本作のシナリオはJRPGのような繊細な心情描写に満ちています。

誰もが業を背負う、人間臭いキャラクターたち

血まみれ男爵

本編の序盤で訪れるヴェレンの地で出会う血まみれ男爵の物語や、DLC「無情なる心」で描かれる感情を失った男オルギエルドの悲劇は、プレイヤーに「どちらを選んでも誰かが不幸になる」という究極の選択を何度も突きつけます。

絶対的な悪人に見える者にも悲痛な過去があり、良かれと思って取った行動が最悪の結果を招くこともあります。安易な勧善懲悪が存在しないからこそ、プレイヤーはゲラルトの視点を通じて深く苦悩し、物語に没入していくのです。

結末をも左右する、魅力的なヒロインたちとの大人の恋愛

イェネファー

本作の人間ドラマをさらに深くしているのが、ゲラルトを取り巻く魅力的な女性キャラクターたちとの恋愛要素です。特に、運命の女である黒髪の魔女イェネファーと、心優しい赤毛の魔術師トリスという対照的な二人のヒロインとの関係性は、プレイヤーを大いに悩ませます。

開発陣は、この二人とのロマンスを全く異なる体験として論理的に設計しています。例えば、イェネファーとの関係性は「運命に縛られた強烈な愛」です。

彼女の強烈なエゴに振り回されるゲラルトを象徴するのが、既プレイヤーの間で語り草となっている「ユニコーンの剥製」です。硬くて痛い剥製の上での逢瀬に文句を言いながらも、気の強い彼女に逆らえないゲラルトの姿は、ある種の滑稽さと深い愛情を示しています。

一方で、トリスとの関係性は「対等で献身的な癒やしの愛」として描かれます。彼女とのロマンスには、狐の仮面をつけて花火を見上げる仮面舞踏会や、過去の情熱を象徴する記憶の薔薇など、徹底してロマンチックで美しい小道具が配置されています。

強烈で理不尽な「ユニコーン」を選ぶか、王道で純粋な「仮面舞踏会」を選ぶか。このアイテムの対比だけでも、二人のヒロインの性質が見事に表現されています。

単なる「好感度システム」とは異なり、本作の恋愛は大人の駆け引きとそれぞれの生き様が交差する複雑なものです。そして驚くべきことに、誰を愛するかという選択は単なるおまけのサブイベントにとどまらず、メインストーリーの展開や最終的なエンディングにまで重大な影響を及ぼします。

両方にいい顔をして二股をかければ、手痛いしっぺ返しを食らうという現実的でシビアな設計も、本作の人間臭さを象徴する素晴らしい要素の一つです。

「本当の意味」でのマルチエンディングシステム

そして、すべての選択の重みを決定づけるのが、本作のマルチエンディングシステムです。多くのゲームで採用されている「最後の選択肢だけで結末が変わる」という表面的なものではありません。

プレイ中の何気ない会話の選択、助けた(あるいは見捨てた)NPCの存在、どの女性を愛したか、そして何より、養女シリに対して親としてどのような態度で接してきたかという、数十時間に及ぶ「プレイヤー自身の行動と感情の蓄積」が、世界の行く末と登場人物たちの結末を劇的に変化させます。

自分の無意識の選択すらも反映された結末だからこそ、エンディングを迎えたときの感情の揺さぶりは他のゲームでは味わえないほど大きなものになります。

メインストーリーだけで100時間、2つの大型DLC「無情なる心」「血塗られた美酒」を含めれば200時間を優に超える圧倒的なボリュームですが、この緻密に計算されたシナリオの連続により、中だるみすることなくエンディングまで駆け抜けてしまう魅力を持っています。

未知なる新DLC、そして2027年の次なる旅路へ

本編とDLCを通じて、主人公ゲラルトの長く過酷な旅は美しい終着点を迎えます。しかし、2026年に予定されている新DLCでは、この完成された物語にどのような新たなピースが加わるのか、世界中のファンが固唾を飲んで見守っています。

そして2027年、いよいよ『ウィッチャー4』が幕を開けます。次作ではゲラルトの養女であるシリが主人公となることが明言されています。ゲラルトが命懸けで守り抜き、共に戦った彼女が、今度は自らの足でどのような世界を切り拓いていくのか。その真の重みと感動は、『ウィッチャー3』という土台を経験してこそ深く理解できるはずです。

シリ

未プレイの方は、今から始めれば新DLC『ウィッチャー4』の発売という最高の祭りにリアルタイムで参加することができます。

そして、これからこの壮大な世界に足を踏み入れる方に、一つだけ強くおすすめしたいプレイスタイルがあります。それは、選択肢のたびに細かくセーブし、望まない結果になったらロードしてやり直す、という一般的なRPGの遊び方を捨てることです。

本作は、あなた自身がゲラルトになりきり、その時々の感情や自分なりの正義に従って、自信を持って決断を下すことに真の価値があります。時には後悔するような痛ましい結果を招くこともあるでしょう。

しかし、その失敗や後悔を含めたすべての経験が、あなただけのウィッチャーの物語を紡ぎ出します。ウィッチャーの世界にどっぷりと没入し、自らの行動によって泥臭く変化していく世界を、ありのままに楽しむためのゲームなのです。

すでにクリアした方も、改めてヴェレンの沼地やトゥサンの美しい葡萄畑に足を踏み入れてみてください。11年の時を経た今プレイすることで、過去の選択とは違う道筋を選び、新たな解釈や発見を得ることができるはずです。今こそ、再びウィッチャーの世界へ旅立つ時です。

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